まつエク の弊害について

「オシャレはガマン」と言われますが、「まつ毛を太く長くしたい」ために「まつ毛エクステンション:まつエク」をつける女性は少なくないかと思います。しかしながら、まつエクをすることが、かえってまつ毛を減らしてしまう可能性があります。

メカニズム(推定)です。

まつエクをする

→顔を洗うときに、マツエクが取れてしまわいように、自然と洗うのを避けるようになる。洗うときにマツエクが引っかかって、まつ毛が抜けてしまう、との声もありました。

→まつ毛周囲が不衛生になる。実際、マツエクをしている患者さんのまつ毛の根本付近には分泌物が溜まっていることがほとんどです。

→不衛生な状況では デモデックス(ニキビダニ)がまつ毛の根元に巣食い、このデモデックスがいることによって、まつ毛が抜けやすくなってしまう。

→マツエクをつけられるまつ毛が減る。まつ毛をぱっちりさせたいので、さらにマツエクをする。せっかく付けたマツエクが、今度こそ取れないように、できるだけ洗わないようになってしまう。 

この悪循環がまつエクでまつ毛が減るメカニズムと推定されます。

では、対策です。

「まつ毛の根元を清潔に保つ」習慣を身につける。ことに尽きるかと思います。

スワン アイ クリニック では、「リッドハイジーン」と言う、まつ毛の根本を毎日洗う習慣を身につけてもらうために、具体的な洗い方を待合室で繰り返しビデオを流しています。

動画では アイシャンプーが登場します。ヌルヌルで滑りが良いので、マツエクも外れにくいかと思います。アイシャンプーがなければ、ぬるま湯だけでも良いので、とにかく毎日、清潔に保つことが最重要だと考えます。アイシャンプーは目に入っても全くしみない点も良いです。

マツエクをする方は、お化粧もしているかと思いますので、お化粧を落とす時に、意識的にまつ毛の根本をていねいにあらってあげることを意識すると良いかと思います。そして、お化粧は目のふちギリギリまではしないでほんの少しで良いから、目のふちからはなしてファンデーション含め化粧をするように意識していただくのが良いと思います。

目元専用の拭き取りシートも新発売されるようです。

木村はあまり洗顔料にこだわりがないので、その場にある洗顔料を使っています。母が置いていった「メイク落としもできる洗顔料」などは、(アイシャンプーほどではないですが)しみないのでまつ毛周囲は洗いやすかったです(成人男性のアブラギッシュな顔面にはもう少しあぶらをしっかり落としたい気もしますが)。どんな洗顔料を使っても、最後すすぐときにまつ毛の根本を水平に数回すすぐようにしています。普通にお湯で洗顔、毎日2回洗っています。そのおかげか、物心ついてから、ものもらい(めばちこ、めっぱ、めいぼ)になったことはありません。子供の時はまつ毛の根元に小さな油の塊が時々できていましたが、これも、最後に見かけた記憶があるのは中学生くらいの時です(ひょっとしたら老眼になって見えなくなっただけかもしれませんが)。

まつ毛の根本付近に油の塊を見つけても、清潔でない環境でとろうとしてはいけません。私は、小学生の時は、瞼のふちに、油の塊を見つけると、「このプチッとしたものなんだろう」と思って、ガリガリ爪で擦ったりしていましたが、今考えると愚かでした。結膜炎やものもらいといった感染症を引き起こします。

眼科医になってからは特に、目を擦らなくなったことも結膜炎・ものもらいの予防に良かったのだと思います。元々アレルギー持ちなので、目が痒くなるのですが、ちょっとでも痒くなり始めたら、早めに点眼するようにしていると、よく効くので、目を擦ることはほぼなくなりました。